◆◇◆ 薬品1 ◆◇◆

赤、緑、黄色、机の上に散らばったカプセルや錠剤。あるいは積み上げられた粉末。

これらを少しずつ飲み干していくうちに眠ってしまい、二度と目を覚まさない。

安らかな睡眠の延長線上にある死。これが最も理想的な自殺の手段である。

そしてこれは薬によってのみ可能な手段でもある。

 

ある種の薬は脳をコントロールする。脳は人体という自己組織システムの制御装置である。呼吸機能も心臓の動きも、システムを維持するための機能はほぼ脳によって制御されている。

ここで解説するのは、この制御機能を薬によって緩やかに失調させ「自分」というシステム全体を破壊するための技術である。

 

●死ねない薬は薬ではない●

どのような薬にも基本的には作用する量と中毒量、致死量がある。

「死ねない薬は薬じゃない」という専門家もいるようだ。

どんな薬でも死ねないことはないのである。ただし作用量と致死量に幅があるものでは、致死量に達するまでに膨大な量を飲む必要があり、それがとても困難だということなのである。

現在の薬はほとんどがこの幅を大きくとってある。つまり安全にできている。

次から紹介するものは、比較的この幅が狭いものである。